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 モノクロ現像入門−番外編
10/11/01 updated

最も手軽なモノクロームの楽しみ方〜カラー現像処理の出来るモノクロフィルム


ILFORD XP2 super (旧パッケージの箱)

カラー現像処理の出来るモノクロフィルムについて

通常のモノクロフィルムとは違い、カラー現像にて処理の出来るモノクロフィルムも存在します。
通常のカラー現像の処理と同様、フィルムに化学反応を起こさせて像を出させるのです。

ごく簡単に説明すると、下記のような違いがあります。

フィルムの違い 現像の方法
通常のモノクロフィルム 銀粒子の化学反応により現像
カラー現像処理の出来る
モノクロフィルム
色素の化学反応により現像

カラー現像の行えるフィルムなら、一般のカラーフィルム現像用の現像機で対応可能のため、
現像を写真屋任せにして手軽に楽しむことが出来ます。
(勿論通常のモノクロフィルムも写真屋に出すことが出来ますが、
こちらの方がより手軽で、更にセピアにも出来るというメリットがあります。)
また、種類によってはミニラボなどのスピード現像でも処理することが出来ます。
(※この場合、プリントは純粋なモノクロプリントではなくセピア調色やブルー調色に似た色調に仕上がります。)


カラー現像の出来るモノクロフィルムの種類

各社から発売されています。
それぞれ似ていますが、少しずつ違います。

メーカー

商品名

特徴

ILFORD(英国) XP2 super 400
(感度400)
これらの中では最も以前から有る。
フィルムベースの色は灰色
Kodak BW400CN
(感度400)

最近発売された。
フィルムベースの色は薄い茶色

コニカ コニカセピア
(感度400)
日本でのセピアフィルムの老舗。
販売は24枚撮りのみ
※製造・販売終了
富士フイルム ネクシアセピア
(APS版のみ販売)
APSフィルム版のみ販売されていた。
APSには通常のモノクロフィルムがないので、
APSでモノクロを使用したい場合は貴重な存在だった。
※製造・販売終了

※フィルムベースの色の違いについては、下の記述をご参照ください。
価格はILFORDの方がKodakより安価です。
出来上がりのお好みも有ると思いますので、両方お試しの上
お好きな方をお使い頂ければと思います。

フィルムベースの色について

これらのフィルムは、カラーネガフィルムとは異なるフィルムベースの色を持っています。

通常のカラーネガフィルムの場合、フィルムのベースならびに感光部分にも
色が付いているため通常のモノクロ印画紙にはきれいに引伸しできません。
これは、通常のモノクロ印画紙はオレンジ色にはそれほど感光しないからです。
(但し、オレンジ色ベースのフィルムを使い引伸しを行ってもそれなりに印画紙に感光しますので
あまりきれいではありませんが、引伸し自体はできます。)
(こうした場合は、カラーネガ用のモノクロ印画紙か、マルチグレードの印画紙を用います)
ここでご紹介する上記の2種類のモノクロフィルムの方が、一般のカラーネガフィルムと比較して
通常のモノクロ印画紙へ引伸しを行う際に綺麗にプリントできます。


「セピア」色について

カラー現像処理を行うフィルムでのは、セピア風の仕上がりを得ることも出来ます。
但し、この「セピア」は、本来のモノクロフィルムのそれとは異なります。

セピアフィルムと謳っているものでも、モノクロ処理によるセピアとは若干色調が異なります。
ただ、モノクロプリントからセピア調色する本物のセピアプリントの場合、
調色処理が大変なことを考えると、かなりの値打ちがあると思います。
(モノクロプリントからセピア調色する場合、調色液の匂いが物凄い上、
調色液をこぼすと床の色を変色させることも有ります。
それを考えると、便利な存在です。)

ちなみに、普通のセピアプリントはモノクロプリントを調色することにより作成します。
本来はプリントの長期保存を目的とするもので、プリントに含まれる銀粒子を化学反応させるものです。
最近は富士Agガードのような、本来のプリントの色調(調色処理を行わない)で長期保存が可能な
プリントを作成する技術が普及し、長期保存を目的とした調色は過去のものとなりつつあります。
アートとしての効果のため、生き残った技術という感じです。


現像依頼時の注意

フィルム毎の違いについては、ILFORD以外は使用したことがないのでわかりません。
但し、フィルムの種類によりラボの対応が異なってきます。

写真店側での対応

ILFORDのXP2 super 400はフィルムのベースの色が灰色のため、一般のスピード写真店では
スピード扱いでは現像・引伸し共にしてもらえません。
これには、フィルム現像・引伸し(印画紙現像)共に理由があります。

引伸しを断られるのは、フィルムベースの色が灰色のため、
写真店側でカラーバランスの設定をやり直す必要があるからです。
(但し、写真店により対応が異なる様です)
また、色素方式によるフィルムでありながら銀粒子を使用しているため、
フィルムの現像機内の処理液に銀が残ってしまうことを理由に断られる店舗も有りました。
(ちなみに、この理由は間違いとのことです)

依頼時の注意点

これらのフィルムを現像に出すときは、できればきちんとした写真屋へ現像を依頼する方が無難です。
もし通常のモノクロフィルムの現像プロセスでこれらのフィルムを現像すると、救済できません。
一応現像方法として、"Process C-41"(C-41はカラー現像の一般的な方式)などと書かれていますが、
念のため店側に告げておく方が無難と思います。
私はこうしたフィルムを現像に出す際、ラボの袋に大きく赤字で「カラー現像処理」と
書き入れて頂いています。

プリントの指定について

焼き増しの際は、必ず「セピア」か「白黒」かを店に伝えましょう。
セピアならカラー現像処理によるセピアプリント、
白黒ならモノクロ現像処理によるモノクロプリントが得られます。
(取り次ぎを行う店員ではわからない場合は、直接フィルムを入れる袋に書き入れるか、
場合によっては取り次ぎ店に現像所の電話番号を聞いた上で連絡をしてもいいと思います。 )
※モノクロ現像処理の場合は、プリント処理工程が異なります。
従って、モノクロプリントを希望される場合、セピア仕上げに比べて日数がかかる可能性があります。

(以前は、セピアプリントでの焼き増し時はコニカ系列のラボが一番無難の様でした。
これは、撮りっきりコニカセピアなどでセピアプリントを手慣れていることもあったからかと思います。)

なお、こうしたモノクロフィルムの場合現像時によりセピア調色風、ブルー調色風など
出来具合がまちまちになりがちです。
現像所によっては、焼き増し時に色調の希望を伝えておけば通るかもしれません。
ただし、手焼き扱いと受け取られると、機械焼きに比べてコストが高くつきますので
特にセピア以外での色調を希望される場合には、事前に機械焼きで行う旨
確認を行った方が良いと思います。


補足

最近のデジタルミニラボ(富士フロンティアシリーズ等)では、
カラーと同じ処理機器でモノクロプリントも出力できるようになっているようです。
急ぎでモノクロプリントが欲しい方は、こうした方法もあるかと思います。
(ただし、あくまでもモノクロに変換しているだけであって
本来のモノクロプリントそのものの色調とは異なると思います。)
カラーネガからも作成できますので、プリントだけでも、という方には良いかもしれません。
また、富士ピクトログラフィ等でプリントする方法もあります。
本来のモノクロプリントからは大きく異なりますが、一応モノクロのプリントはできます。

最近はデジタルカメラ等で撮影したデータやスキャナで取り込みを行ったフィルム写真のデータを
ご自宅に有る写真画質のプリンタを使用してモノクロ出力を行うことも一般的になってきました。
お急ぎの時、カラーで撮ったものをモノクロで見たいときなどご参考まで。


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