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 モノクロ現像入門−準備編
 印画紙現像に必要なもの−道具編
10/11/01 updated

引伸機 / Enlarger

FUJI B690 enlarger
FUJI B690

引伸機は、印画紙の引き伸ばしに欠かせないものです。
上部につけられた電球の光をコンデンサーで集め、ネガに当てた後に
下の台板上の印画紙に投影することで引き伸ばします。


引伸機の構造については、こちらのページにまとめてあります。

ここでは、主に選び方のポイントについて記します。

引伸機の選び方
色々なものが販売されていますが、お買い求めの際は
下記の基準により選択の上、購入されればと思います。

(1) 使用する最大のフィルムサイズ
(2) 引き伸ばしを行うサイズ
(3) 引き伸ばしを行うのは白黒かカラーか?
(4) その他注意点

使用する最大のフィルムサイズ
使用するフィルムサイズにより、引伸機の選択肢が限られてきます。
「大は小を兼ねる」の通り、大きなフィルム用の引伸機で小さなフィルムは使用できますが、
逆は出来ません。
激安引伸機の中には35mm判のフィルムしか使用できない機種もあります。
値段的には多少安くなりますが、引伸機の光学設計の問題上35mm判しか使用できないものよりは
中判にも使用できる引伸機の方が性能がいいとされています。
もっとも、35mm判専用でも一応十分に使えます。
光学設計上の問題よりも、将来やるかも知れないという保険のつもりで、
中判対応のものにされればと思います。
但し、あまり大きなものを選ぶと置き場に苦労しますので、
置き場についてお考えになられた上で決められれば良いと思います。


ちなみに、各引伸機の名称に記されている数字から、対応するフィルムサイズがわかります。
代表的な3社の場合について記します。


富士
ラッキー
LPL
引伸可能なフィルムサイズ
35
35
メオプタ
35
35mm判、ハーフサイズ専用
-
60
66,6600等
35mm判、ハーフサイズ − 6X6判まで
670
70
7700等
35mm判、ハーフサイズ − 6X7判まで
69
690
69
90
-
35mm判、ハーフサイズ − 6X9判まで
45
450
45
450
7454等
35mm判、ハーフサイズ − 4X5シートフィルム判まで
※富士は2006年12月に出荷終了済です。

上記の表はあくまでも簡易的な見分け方のためのものです。
各社の引伸機の仕様については、こちらにてまとめられています。

引伸しを行うサイズ

通常の場合は下記の通りです。

小さい方が置き場の確保の面では楽ですが、出来れば四切以上に伸ばせる機種の方が
使い勝手は良いかと思います。
(大伸ばし自体はされなくても、トリミングで拡大してプリントしたい場合は、
大伸しに向いた機種の方が有利です)

但し、台板上では下記までしか伸ばせなくても、壁面や床面に印画紙を置いて
投影する方法を使用すれば、それ以上の倍率にも伸ばすことが出来ます。

分類
最大
小型初級機
六切まで
初級機〜中級機
四切まで
上級機
半切まで〜全紙まで
※大体の目安です。
各機種についてはこちらをご参照ください。

引伸しを行うのは白黒かカラーか?

白黒用に使うか、カラー用に使うかで使用できる引伸機が異なってきます。
白黒用・カラー用で光学設計の部分が異なるのです。
引伸機には、集光式、集散光式、散光式の3つのタイプがあります。
それぞれの特徴は下記の通りです。

方式 用途 特徴
集光式
白黒現像
シャープな画が得られる。
微少なほこり等まで再現してしまい、現像後の修正が大変。
現在このタイプの引伸機は販売されていない。
集散光式
白黒現像
シャープさと適度なコントラストが得られる一方、
微少なほこりなどの再現を行わないバランスの良いタイプ。
白黒引伸機の標準的な方式。
散光式
カラー現像
ネガの埃や傷が目立たないのが特徴。
シャープさは上記2種より劣るので、白黒用としては向かないとされてきた。
(但し白黒専用機にもこのタイプが存在する。
 最近のマルチグレード(多階調)印画紙用の機種もこのタイプ。 )
カラーには向いており、カラー引伸機用の標準的な方式。
機種によっては、コンデンサーユニットかヘッド部の交換・追加により
一時的に集散光式に変えることが出来るものもある。

黒しか使わないなら、集散光式の機種がお奨めです。
集散光式の機種は、ロングセラーの機種が多く、散光式より割安で入手できます。
各社から販売されている最廉価の機種もこのタイプです。

各社の引伸機の仕様については、こちらにてまとめられています。

(3)その他注意点

置き場
あまり大きなものを選ぶと置き場に苦労します。
暗室をどこに作成するかにもよりますが、下記の様な方は特に気をつけましょう。


・手狭なスペースしか確保できない方
・風呂(ユニットバス)を暗室にしようとしている方
・押し入れを暗室にするつもりの方


引伸機は、結構かさばるものです。
下記の大きさの物体が、常時部屋の中に置かれることになります。
予めこれだけのスペースが有るのかをご確認ください。

機種 高さ(最高) 重量 奥行
普及機 70〜100cm 10kg位 45cm位
上級機 130〜145cm 20kg以上 60cm位

特に高さは、床からではなく台からの高さになりますので注意してください!

また、一般的なダイニングテーブル程度だと、強度の面で上級機を置くのは危険かもしれません。

使用するたびに風呂場へ引伸機を持ち込むつもりの方の場合、
あまり大きい機種だと風呂への出し入れだけで大変です。
簡単に分解できる機種でないと扉にぶつける可能性も高くなります。

(大体の機種は分解できますが、工具が必要だったり作業が厄介なため、
現実には分解しての保管はあまり無いと思います。
保管時の引伸機内部の安全を保つためにも、可能であれば組み立てたままの保管が
望ましいと思います。)

場所がどうしても確保できない場合は、小型の引伸機もありますので
そうしたものをご検討されるのもよいかと思います。

また、引伸機は使用しないときにはヘッド本体の部分を支柱の最も高い位置にセットして保管します。
支柱の高い機種を背の高くない方が使用する場合、ヘッドに飛びついて位置を下げようとする人もいます。
こうしたことをしていると、引伸機を傷めますので注意してください。

操作のしやすさ
引伸機の機種により、操作がだいぶ異なります。
購入時には是非実機を触った上で決めましょう。


確認するのは下記の部分です。

項目 内容
a 上下動 上下動を行うノブあるいはレバーの操作のしやすさ
b ピント合わせ ピント合わせを行うノブの操作のしやすさ
c 支柱 支柱が垂直か斜めか

a.,b.共に好みがあると思いますので何ともいいにくいのですが、
触ってみて微調整が行いやすいかどうかを確認してみるといいでしょう。
(高さ・ピント共に)


c.については、現在は斜め支柱の機種も普及機・中級機を中心にポピュラーになっています。
このタイプは、大伸ばしの際など引き伸ばし倍率を変える際、光源が移動するため
省スペースで済むのがメリットですが、一方で引き伸ばし倍率を変える毎に
印画紙(イーゼル)側を移動する必要があります。
私個人としては、斜めでない方が好みですが・・・。


私の場合、富士の旧式に慣れているので、他社の機種によっては使いづらく感じますが、
それらの機種で慣れた方はおそらくその逆でしょうし、個人の判断でいいと思います。
他社についても同様です。

堅牢性
暗室(というより、引き伸ばす場所)によっても異なるのでしょうが、
引伸機がぐらついてしまうようだと、まともなプリントを作るのは大変です。


堅牢さの目安になるのは、やはり支柱です。
これが丈夫な方が、引き伸ばし時のぶれも起きにくく、安心して処理が出来ます。


これを追求すると、プロ用の機種がいいということになるのですが、
そうすると置場に苦労する場合があるので、その辺はバランスを考えて選んで下さい。

最後に...
出来れば現物を見ることのできるところで確認してから買いましょう。
(ただし、引伸機はメーカーからの直送になることがほとんどです)
不明な点はその場で店員に確認してみてください。嫌な店員だったらそこでは買わないことです。
周囲に使っている人がいるなら、事前に機材を見せてもらうと良いでしょう。
色々と使っている方ならではの意見が聞けると思います。


カメラにもいえることですが、店のお奨め品というのは必ずしも使う側にとっての
ベストといえない場合も多々あります。
(特定メーカーの機種ばかり目立つところにある場合などは要注意です。)
結構高価なものですし、よく考えて選んで下さい。

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