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 モノクロ現像入門−印画紙現像
10/11/01 updated

停止液での化学反応についての補足

「停止液は『停止』と書いてあるから停止液の段階で現像作用が止まるのだろう。
だから印画紙を停止液に入れれば部屋を明るくしていいのでは?」
その様にお考えになる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、停止液では印画紙の現像作用を全て止めているわけではありません。
誤解を避けるため、化学的な面からも簡単に補足します。

この現像ページは化学のページとしてではなく、作業方法のページとして作ったつもりです。
化学ということで理系教科が苦手な方がとっつきにくくなることを防ぐため、
ここではあえて化学的な事を前面に書かないようにしています。
しかし、作業方法の説明だけですと、中途半端に理解されている方の
誤解を招くおそれがあるようです。
一応書きますが、読み流していただく程度で結構です。

印画紙の乳剤面には、ハロゲン化された銀(以下ハロゲン化銀)が含まれています。
引伸機で露光することにより、光の当った部分のハロゲン化銀が感光します。
現像液に入れることで、感光したハロゲン化銀が金属銀粒子に変わります。
そのことを還元作用といいます。

停止液で停止するのは、この還元作用です。

定着液では、現像液の段階で現像されなかったハロゲン化銀を溶解し、
印画紙の乳剤面から除去します。
このことにより、画像がプリントに文字通り定着されます。
この定着作用が不完全だと、印画紙に残っている未感光のハロゲン化銀が感光して、
黄褐色や紫色の汚染を生じます。
この汚染は、定着後すぐではなく、月日、年月が経ってから発生します。

試しにどの液にも浸していない印画紙を(安全光下で)1枚箱から出しておき、
明るいところに置いてみましょう。
切れ端が一かけらあればそれで十分です。
(私は現像を始めた頃に間違えてやりました。
勿体無くて今更やりたいとは思いませんが。。。)
間もなく黄色っぽくなり、紫色に変色するはずです。

停止液段階で明るくする事で、印画紙に残っていたこのハロゲン化銀を
感光させてしまいます。
これが変色の原因になります。
(もっとも、普段停止液の段階で明るくはしませんので普通はこんなことを
経験することはないのですが。)

停止液の「停止」作用は、露光により反応したハロゲン化銀の
現像の進行を「停止」するだけです。
基本的には印画紙に残ったハロゲン化銀の作用を止めることはできません。

停止液段階で間違えて明るくした程度や、すぐに定着液に持っていく前提で明るくするのなら、
すぐ定着液に持っていけばそれ程の影響は出ないでしょう。
(本当はカブリの基にもなりますし、お奨めしませんが。。。)

定着液に入れても、入れた直後に明るくするのではなく、
少し間を置いてから部屋を明るくすべきといえます。
規定の所要時間の半分程度は電気を明るくしない方がいいでしょう。

部屋を明るくするのは停止液ではなく定着液に入れてから
しばらくたった後にする様にお願いします。


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露光(焼き付け) → 
現像 → 停止 → 定着 → 水洗 → 乾燥

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